札幌で仕事した時に、新規のお客様で多いトラブルは、髪の色のほかに、カットの問題があります。
「毛先がバサバサで、跳ねてしまう。何度もすいてもらっているのに、直らない」
そして、すけばすくほど扱いにくくなっている気がする、そしてバサバサに傷んで見える…ともおっしゃっていました。
まず、結論からお伝えします
毛先は、すけばすくほど跳ねます。
逆に、ハネのスタイルをカットするとき、毛先を軽くしていくんです。
軽くするための作業が、跳ねる原因を増やしている。
では、順番にご説明します。
跳ねているのは、毛量のせいではありません
テーブルクロスの下に、本を1冊置いてみてください。そこだけ布が持ち上がり、端がめくれます。
髪も同じです。
襟足の下に短い毛の一列があると、その上に乗っている長い毛が、下から押し上げられます。押し上げられた毛は、その先で行き場を失って外へ向く。これが「跳ねる」の正体です。

ですから、ブローで押さえても直りません。 乾かした直後はまとまっても、翌日また同じ場所が跳ねる。台がそこにあるかぎり、何度でも同じことが起きます。



なぜ、短い毛の一列ができるのか
ここは、この内側の襟足の部分を一列だけ短くするというのは、昔、30年くらい前は、このように習いました。
まだ再現性という考え方のない時代。美容師がブローするときに内側に入りやすいテクニックとして、当たり前のように習ったカット技術でした。
しかし、時代とともに、お客様が日々の手入れをしやすいように、再現性のあるカットというのが脚光を浴びたのですが、現在でも東京を中心として、勉強熱心な美容師の間でしか取り入れられていないようです。
ツーブロックのような、短い髪の上に長い髪が乗っかっているというカットを、次に切るときにその段差を繋ぎ直す必要があります。
量を減らすことでは、段差は繋がりません。
ご自宅でできる確認
いま跳ねている方は、ぜひ試してみてください。
乾かしたあと、跳ねている部分のすぐ下の毛を、指で持ち上げてみてください。
短い毛が、一列ありませんか。
もしあれば、それが台です。毛量でも、髪質でも、クセでもありません。
すきバサミは、形を作る道具ではありません
誤解のないように申し上げます。すきバサミは、必要な道具です。量を調整するために使うもので、それ自体に問題はありません。
問題は、使う順番です。
すきバサミは「量」を減らす道具であって、「形」を作る道具ではありません。形が決まっていない髪の量だけを減らすと、何が起きるか。
短い毛が増えます。
そして短い毛は、先ほどお話ししたとおり、台になります。
軽くしたはずなのに跳ねが増える。すくたびに扱いにくくなる。理由はここにあります。
まずハサミでカットラインを正確に決める。そのうえで、必要な分だけ量を整える。順番が逆になると、量を減らすほど収まらなくなっていきます。
もう一つ、どこに入れるかも結果を分けます。
根元に近いところで量を落とすと、そこにできた短い毛が立ち上がり、上の毛を押し上げます。毛先だけで繰り返すと、今度は先が細くなりすぎて、量があるのにまとまらない状態になります。
同じ道具でも、入れる位置で結果は正反対になります。「すいてください」というご要望に対して、どこへ、どれだけ入れるのか。そこを決めているのは、道具ではなく設計です。
オーダーしたはずの、「くびれボブ」や「ショートウルフ」が、形に出ない理由
写真をお持ちいただくことは、とてもいいことです。ただ、写真どおりのシルエットは、長さの設計で作られています。
くびれは、梳きバサミで削って作るものではありません。どこを短くし、どこを残し、その差をどう繋ぐか。土台の長さが決まっていなければ、いくら量を調整しても、あの形にはなりません。
このあたりは文章より、実際の頭でご覧いただくほうが早いと思います。


毛先の密度が抜けると、どう見えるか
先日のお客様は、「老けて見える」とおっしゃいました。
これは感覚の問題ではなく、光の問題です。
毛先の密度が抜けると、光を受ける面がなくなり、影もできません。すると髪の輪郭がぼやけ、量そのものが少なく見えます。そして顔まわりの印象は、髪の輪郭に引っ張られます。
もう一つ、見落とされやすい点があります。問題は量ではなく、分布です。
「すいたのに重い」「軽いのにまとまらない」という矛盾した感覚は、全体の量が多いのではなく、量のある場所とない場所がちぐはぐになっているために起こります。
目指すのは、お習字の筆です
筆の穂先を思い出してください。
根元から中間までは、しっかり詰まっています。そして先だけが、自然に細くなっている。毛先が細いのに、スカスカには見えません。
髪も同じです。ハサミでカットラインを作り、そのうえで毛先に向かって少しずつ量を整えていくと、筆のような先細りになります。中間の密度が残っているので、毛先が細くても健康そうに見えます。

同じ毛量でも、分布が変われば、見え方はここまで変わります。
いま跳ねている方が、今日からできること
切るまでのあいだ、少しでも収めたい方へ。対症療法にはなりますが、効果はあります。
跳ねている部分を、一度濡らしてください。
乾いた髪を上から押さえても戻りません。根元まで濡らして、形をリセットしてから乾かし直します。これが一番確実です。
乾かすときは、下へ引きながら。
襟足を手のひらで下方向に押さえ、根元から風を当てます。最初に根元の向きを決めてしまえば、毛先は素直についてきます。先に毛先を乾かすと、根元の向きが残ったままになります。
オイルは、毛先ではなく中間から。
跳ねているとき、毛先にオイルを足したくなります。けれど重さが必要なのは、密度の抜けた中間です。中間から手ぐしを通し、余った分を毛先に、という順番のほうが収まります。
ただし、これらはすべて時間稼ぎです。 台そのものは、切って繋ぎ直すまでなくなりません。そこは正直にお伝えしておきます。
顔まわりのこと
もう一点だけ。
こめかみにかかる毛が一本もないと、顔の輪郭がそのまま出てしまい、フェイスラインが下に見えます。
前髪を作るということではありません。顔まわりに数センチ分の長さを置くだけで、輪郭の見え方は変わります。長く「前髪なし」で過ごしてこられた方ほど、ここは効きます。
ご相談について
すでに入っている短い毛は、消すことができません。伸びるのを待ちながら、跳ねにくい形へ少しずつ寄せていく作業になります。
初回で完全に解決するとお約束はできません。けれど、いまどこに台があって、何ヶ月後にどうなるのかを、最初にご説明することはできます。
カウンセリングの時間が長くて30分かかる場合もあります。時間には余裕を持ってお越し下さい。
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髪の色についてのご相談は、こちらの記事もご覧ください。
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